年金受給につながらない厚生年金に加入している62歳の保険は?


Q.
夫が死亡し、2年前から遺族厚生年金を受けており、現在(平成9年8月)62歳です。2年前より会社に勤めて事務をし、厚生年金の保険料を納めています。社長から、「会社とあなたの両方で厚生年金の保険料を毎月約3万円、年36万円も払っているが、あなたの年金にはプラスされない。国は、保険料を流用している。あなたが望めば保険料を払わなくてもよい短時間勤務に切り替えてもよい。どうするかあなたが決めてほしい。会社としては65歳まで働いてほしいが」といわれました。
 いままでの2年分と65歳までの計5年分の労使双方の保険料合計約180万円は、あなたが老齢厚生年金の権利が発生しても遺族厚生年金の額の方が高いですからそれを選択することになり、掛け捨てになるのは事実です。

 年金の保険料積立金は百数十兆円の膨大な額ですが、これが本来の目的である老後の暮らしを支える年金増額に使われず、財政投融資や年金福祉事業団を通じて株式下支えに投資され1兆円を超える赤字になっています。あなたの社長さんが、まさに「流用」と厳しい批判をしているのは当然です。

 ところで、社会保険適用の事業所に勤めているものであっても、一般労働者の月、週、日の所定労働時間の4分の3以下であれば、厚生年金を適用せず、資格を喪失させることができます。社長さんは、その方法を選ぶかどうか、あなたが決めなさいといわれたのでしょう。ただし、その場合、健康保険の被保険者の資格も喪失します。健保の任意継続被保険者で継続する場合は、事業主の負担分も含めてあなたは保険料をいままでの2倍の約1万5千円を負担するか、国民健康保険に加入することになります。

 なお、厚生年金の被保険者資格を失った場合、65歳になるまで国民年金に高齢任意加入し保険料を3年間納めればあなたの年齢の方は、年額約7万円の老齢基礎年金が支給され、遺族厚生年金に併給されます。年金額の面からだけ見れば、これが有利です。

 健康保険は、給料の額は関係なく就労時間で適用、非適用が決められます。
(アクセス回数: 3321 )