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借り手の取引履歴
消費者金融に開示義務
最高裁が初の判断
消費者金融に借り手(債務者)の取引履歴を開示する義務があるかどうかが争われた訴訟で、最高裁第3小法廷(浜田邦夫裁判長)は19日、義務はあるとの初判断を示し、義務を認めなかった1、2審判決を破棄、審理を大阪高裁に差し戻した。債務者が金融業者に直接開示を請求出来るようになり、多重債務者の債務整理の実務などに影響を与えそうだ。
判決は、貸金業法が業者側に帳簿の保存を罰則付きで義務付けていることや、非開示により債務者が大きな不利益を被る可能性を踏まえ「業者にとって履歴の開示は容易で、保存期間(貸金業法が3年、商法が10年)を超えていても、履歴が残っている限り開示する義務を負う」と述べた。
多重債務者には、借金額や返済額を把握していない人が多く、開示拒否は債務整理を遅らせる要因になる。法定利息上は弁済が終わっているのに、業者が不当な利息を請求し続けていることを隠したり、借り手に不当な利息を「過払い金」として返還することを免れる目的で開示を拒否するケースもあるとされる。
原告は大阪府の女性。消費者金融「キャスコ」(大阪市)に過払い金134万円の返還を請求するとともに、提訴前に履歴の開示を拒否されたことで債務整理が遅れ、精神的苦痛を受けたとして慰謝料30万円の支払いを求めた。1、2蕃は「開示すべき一般的な法的義務はない」と判断し、過払い金返還だけを認め、慰謝料の請求は棄却していた。差し戻し後の審理で、慰謝料額の算定が行われる。
キャスコの話 判決文を入手していないので内各についてはコメントできないが、厳粛に受け止めている。
多重債務の早期整理に道
[解説]
消費者金融の取引履歴を巡る最高裁判決は、業者側の貸手としての責任を重く見て「借り手への開示は義務」と結論付けた。多重債務者の多くは、自分で領収書などの関係書類のすべては保管していないため、業者側から取引履歴が開示されなければ、正確な借金額や返済額を把握することは困難だ。金融庁のガイドラインは、開示請求に対して「協力すること」と定めているものの、開示を義務付けた明文規定はない。債務整理を依頼された弁護士の要求も拒否されることが多かった。
多重債務者の問題は、家庭崩壊や犯罪の遠因とされる。それだけに、今回の判決で最高裁が司法の判断を統一し、早期の債務整理に道を開いた意義は大きい。【木戸哲】
2005年7月19日 毎日新聞夕刊