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進む若者の「年金不信」
20代の7割未納
「払っても、もらえないよ」
若年層の「年金離れ」は確実に進んでいる。平日の昼間、東京・渋谷と池袋で20代のフリーター男女に国民年金の保険料を払っているか聞いてみた。答えてくれた20人のうち「毎月払っている」と答、えたのは6割の12人。6人が「払っていない」、2人が「不明(自分では払っていないが、親が払っているかも)」と答えた。【友田達郎、中山裕司】
未納の理由は「月15万円ほどの給料では苦しくて払えない。定職に就いたら払うつもり」(23歳の男性)という経済苦のほか、「僕らがもらうころは大きく(給付を)減らされると聞いた」(25歳・男性)「保険料払っても年金もらえないよ、とみんなが言っている」(20歳・女性)など不信感が目立つ。納付者でも「(民間会社の)個人年金の万が割がいいよ、と言う友人もいて払うのやめようかとも思うけど(督促を受けたりして)ごちゃごちゃするのが嫌なので」(25歳・男性)と制度への信頼感は薄い。 だが、不償の根拠は「テレビで『年金が危ない』と言っていた」「友達が皆言っている」といったレベルで、中身も「制度がなくなる」から「払った(保険料の)分も戻ってこない」「漠然とした不安」までさまざま。一方で「賦課方式」や「3分の1の国庫補助」など制度の基本的な仕組みを答えられる若者は少ない。「国で話し合ってきちんと(年金が)出るようにしてほしい」という28歳の男性も総選挙の投票には「行かないだろ」と答えるなど、選挙を通じて年金制度の不安を払拭してもらおうという考えを示した若者はいなかった。
国民年金の02年度の納付率は62.8%(前年度比8.1ポイント悪化)。衝撃的な数字だが、若年層はさらにすさまじい。20〜24歳では47.4%、25〜29歳でも49.4%と半数を割る。さらにこの計算から漏れている支払免除者や、猶予されている学生まで含めて計算し直すと、20代全体の実質的な収納率は約33%で、3分の1まで減ってしまう。「皆年金」の看板は有名無実だ。
社会保険庁は今年度、十分な所得、資産のある悪質滞納者を対象に15年ぶりの強制徴収に乗り出す。東洋大学の駒村康平助教授は「高所得者の滞納は制度の公平さを著しく損なうので(強制徴収は)やるべきだと思うが、それだけで徴収率を上げられるか」と疑問を呈する。
仮装休業で保険料逃れも
空洞化しているのは国民年金だけじゃない。厚生年金も同様だ。
会計検査院が00年度、全国16都道府県の93社会保険事務所を対象にした調査では、休業を理由に脱退した8190事業所のうち、298事業所が脱退届け提出後も引き続き操業していたり、短期間で事業を再開していたことが判明。大半が保険料逃れのための”仮装休業”だったとみられる。 東京都内の社会保険労務士は「経営が悪いなどの理由で厚生年金、健康保険、雇用保険から離脱して保険料の支払いをやめる企業は実際ある」と証言する。
このほか、旧総務庁による96年の行政監察では、新規設立企業を厚生年金に加入させるための基本作業である法人登記簿の閲覧さえしていない社会保険事務所が、調査した26事務所のうち16事務所もあった。
もっとも適用漏れが多いとみられているのがパート、アルバイトなどの短時間労働者だ。社保庁は「通常の就労者(正社員)の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である就労者」は短時間労働者であっても厚生年金に加入させることとしている。だが、やはり会計検査院による99〜01年度の調査で、条件を満たしている多くの短時間労働者が適用漏れになっていることが判明している。
2003年10月2日 毎日新聞