厚生労働省が、厚生年金などの情報提供拡充に動き始めた。若い世代も将来受け取各年金額が分かるようにと、4月末にホームページ上に簡易試算コーナーを敷けたほか、来年度中には社会保険事務所の年金額開示を現行の58歳以上から50歳以上に拡大する予定だ。「ちゃんと将来年金をもらえるのか」という年金不信が強まり、国民年金では保険料未納という空洞化も進む。遅れぼせながら国民に対する情報サービスに乗り出した。 【因幡健悦】
■ネット試算
年金事務を取り扱っている社会保険庁は4月30日、ホームページ(www.sia.go.jp)に「自分で出来る年金額簡易試算」を設けた。アクセス件数は同日だけで1700件を超え、7月までの3カ月では合計13万1494件に達した。
試算方法は生年月日、月収、在職期間などを画面の指示に従って入力する。例えば、75年4月10日生まれ、27歳の男性という想定で、国民年金に2年(学生時)、厚生年金に37年8カ月加入し、平均月収が27歳までが30万円、定年の60歳までが40万円と入力すると、65歳以降の年金額は年207万円と表示された。
加入者ごとの詳しい個別事情は反映できず、あくまで「目安」の位置付けだ。今後、メール相談なども行う方針だ。
■個別通知
現在は58歳にならないと、社会保険事務所で自分の年金額などの情報開示を受けられない。これを03年度にも50歳に引き下げる。加入者の老後設計に役立ててもらうためだ。また今は、社会保険事務所に自分で出かけなければならないが、58歳の誕生日時点で年金額などを郵便通知する。
海外の例をみると米国で25歳、ドイツでは27歳からと若い世代にも個別通知を行っている。このため、厚労省では04年改正でスウェーデンの「オレンジレター」(16歳以上が対象)に代表される個別通知と、ドイツが04年から本格導入する「ポイント制」(45年保険料を納めた場合を基準に、複雑な年金計算を点数に置き換え、受給額を把握しやすくする)を参考に情報開示を拡充する。