厚生省は28日、99年の公的年金制度改革案をまとめ、自民党年金制度調査会・社会部会合同会議に提示した。少子高齢化に対応し、現役世代の保険料負担が重くなり過ぎないように、厚生年金保険料をピーク時でもサラリーマンの月収の26%(年収で20%、労使折半)に抑えることを目標に掲げ、年金給付を抑制するための三案を盛り込んだ。現行制度を維持した場合に比べ、サラリーマン世帯(妻は専業主婦)が受け取る標準的な年金額は2〜10%減少する。政府・与党はこの案を基に制度改革を年末までに決めたい意向だが、景気への配慮もあり、難航は必至だ。
年金制度は5年に一度、将来の人口予測などの見直しに伴って改革しており、99年が次の改革期に当たる。
現行制度のままでは2025年度に保険料負担が今の二倍程度に膨らんで、厚生年金の場合で現行の月収の17.35%から約34%に上昇する。このため、改革案では今春に実施した有識者調査結果などから、「保険料負担はピーク時の2029年度でも月収の26%程度に抑え、2025年度時点の年金給付総額を二割削減する」ことを基本方針とした。
前回の94年改革でサラリーマンは2013年度以降は65歳から基礎年金(国民年金)と厚生年金を、60〜64歳の期間は標準月額で10万円程度の「部分年金」をそれぞれ受け取ることになった。
年金給付抑制のための三案はこの部分年金を廃止するかしないかなどで分かれる。厚生省は部分年金を廃止する第一案を最も有力な案として推している。第二案、第三案は部分年金を廃止しない代わりに全体の削減率が大きい。同省は特に基礎年金部分まで削減する第三案は受け入れにくいとみている。
第一案の部分年金の廃止は2013年度から2025年度にかけて実施される。年金削減は99年度から始まるが、第一案の場合、経過措置があるため完全に適用されるのは2004年度以降となる。また、すでに年金を受給している人の年金額は減らない。
夫婦共に65歳以上で、夫は厚生年金に40年加入、妻は専業主婦という世帯が年金を受給し始めるときの標準月額は現行制度では99年度価格で242,000円になる。これに対し改革案ではこのモデル世帯が年金を受け始めるときの標準月額を99年度価格で表示した場合、第一案は237,000円、第二案は226,000円、第三案は218,000円となり、2〜10%程度の削減になる。年金を受け始めた後の物価上昇に応じて年金額を増やす仕組みは残る。