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企業年金、積み立て不足3.8兆円

米基準23社97年度20%増、長期金利低下響く


 企業年金の積み立て不足が一段と深刻になってきた。米国会計基準で連結決算を開示している東芝、ソニーなどの有力上場企業23社の97年度の積み立て不足額は合計3兆8204億円と、1年間で20%増えた。超低金利のあおりで将来の年金給付に必要な現在確保できなくなっている。2000年度以降、米国並みの年金会計基準が導入されると、また年金財政を開示していない大半の日本企業でも、多額の積み立て不足が表面化するのは確実だ。

 企業年金は企業が拠出する掛け金を運用し、退職した従業員の年金給付などを賄う。昨年度の23社合計の資産残高は4兆5870億円と96年度に比べ10%増えた。一方、将来の給付に備えて昨年度時点で本来積み立てていなければならない額は14%増の8兆4074億円と、資産の伸びを上回って拡大。必要積立額から資産残高を差し引いた積み立て不足が膨らんだ。

 必要積立額は直近の長期金利などを勘案した金利水準を前提に計算され、金利水準が下がると必要積立額は大きくなる。昨年度はキャノンが「長期金利の実勢に近付ける必要があると判断」(田中稔三常務)し前提金利水準を4.0%から3.5%に下げるなど、23社のうち15社が0.3〜1%の幅で引き下げた。

 2000年度以降の新しい年金会計基準では、将来の昇給の可能性や、前提金利水準を実勢に近付けて必要積立額を算出するようになる。多くの企業で積み立て不足が生じると見られ、「23社のデータから推計すると、日本企業全体の不足額は少なくとも60兆円に上る」(大和総研年金調査部)との見方もある。

 年金積み立て不足の増加は企業の財務体質を悪化させ、格付け低下につながる恐れがある。

主要企業の積立不足状況
(単位:億円)
社名不足額
東  芝7,707
三菱電機6,766
本田技研工業4,815
NEC3,351
ソニー2,697
クボタ1,739
三洋電機1,733
キャノン1,575
富士写真フィルム1,219
23社合計38,204
(注)97年度の有価証券報告書から作成

平成10年7月5日 日本経済新聞