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厚生・国民年金の予定利率 4%程度に下げ

99年度から厚生省方針


 厚生省は現在5.5%を見込んでいる厚生年金と国民年金の運用の予定利率を、99年の次期年金制度改革で10年ぶりに引き下げる方針を固めた。超低金利が続くなか、現行水準を達成するのは困難と判断したためで、年4%程度にする案が有力。予定利率の引き下げは保険料引き上げの要因になる。

 予定利率の改定は、89年に年7%から現行水準に引き下げて以来となる。年金審議会(厚相の諮問機関)の議論を経て9年度から実施する方針だ。厚生年金基金などの企業年金や公務員が加入する共済年金も、現在は基本的に年5.5%の予定利率を使っているが、追随して予定利率を引き下げる可能性が高い。

 厚生省は民間のサラリーマンが加入する厚生年金と自営業者らが加入する国民年金の積立金を、大蔵省の資金運用部に預託し、財政投融資に回している。しかし、市場金利の低下に伴って財投への預託金利も下がっており、96年度の運用利回りは厚生年金で4.99%、国民年金で4.56%といずれも予定利率を下回った。97年度はさらに利回りが低下した模様だ。

 財政制度改革の一環として、厚生省は早ければ2000年度から積立金の財投への預託をやめ、新規資金から順次、市場運用に回す予定。しかしそれでも、将来にわたって年5.5%の運用利回りを確保するのは難しいと判断した。

 公的年金の保険料は人口推計、予定利率、物価や賃金の上昇見込みなどを総合的に勘案して決める。厚生年金の保険料率は現在月収の17.35%(これを労使で折半)で、給付水準を変えないなら、ピーク時の2025年度には34.3%(同)に高まると見られている。予定利率の1.5ポイントの低下は、ピーク時の保険料を2ポイント強高める要因になるという。このため、今回の制度改革で給付水準の引き下げも検討しているほか、物価上昇率の見込みなどを低く押さえて、予定利率の引き下げがまともに保険料率の上昇に跳ね返らない方法を探る考えだ。

平成10年6月29日 日本経済新聞