石川島播磨重工業は高度な知識・ノウハウを持つ工場現場の定年退職技術者を再雇用し、グループ内に派遣する新会社を設立した。高度成長期に大量採用した技術者が今後10年で続々と定年に達し、若手への技術継承が困難になると判断した。大量の定年予備軍を抱える重厚長大産業を中心に技術継承対策が急務になる一方、少子高齢化が進む中で、産業界で高齢者を積極的に活用しようとする動きが活発になりそうだ。
新会社はエキスパートエンジニアリング(東京・中央、上原彰彦社長)。石播の全額出資で、資本金は二千万円。環境プラント事業本部とエネルギー事業本部を定年退職した現場技術者11人で発足した。
内訳はボイラー設計者4人、セメントプラント設計者3人、工事現場の監督者2人、輸送計画の立案者2人。いずれも現場実務に長年携わり、高度な作業知識・ノウハウを保有している。
11人は基本的に従来の職場にとどまり、自ら作業するとともに若手技術者の育成に当たる。現場工事の監督者2人はそれぞれタイとマレーシアに派遣、現地でのプラント工事を指揮・監督する。
同社は環境プラント、エネルギー両事業本部の定年退職者を採用し、2002年度までに社員数を約100人に増やす。事業本部からの推薦に基づき、「現場に欠かせない人物かどうかを厳しく審査して採否を決める」(上原社長)という。両本部の退職者のうち10〜15%程度が再雇用の対象になると見ている。
一年ごとの雇用契約になっており、給与は派遣先からの収入に、高齢者雇用給付金、在職老齢年金を加えて支払う。これにより石播時代の年収の7〜8割を維持できるという。定年は65歳に設定した。
石播は今春、博士級の技術者を専門に再雇用する人材派遣会社を設立しており、定年に達した高齢者の維持・向上に貢献する体制を整えた。