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厚生年金生涯収支 30歳以上は受益超

50歳で3200万円 10歳は負担超1000万円 給付の抑制課題(厚生省試算)


 厚生省は民間サラリーマンが加入する厚生年金の生涯収支を世代別に試算し、14日の年金審議会(厚相の諮問機関)に提示した。一生涯の受益と企業負担を含めた保険料の総額が釣り合うのは現在30歳代の世代で、これより上の世代は受益のほうが多い。50歳世代は年金の支給総額が保険料負担より3200万円多くなるが、10歳の子供は1000万円の負担超過になる。少子・高齢化の加速で高齢者と若年層の格差が広がっており、団塊世代にあたる50歳世代の給付抑制策が当面の課題になる。

 試算は公的年金改革を実施した94年度を基準に、保険料と受け取る年金総額を20歳刻みで推計した。前提は@現役世代の平均月収が34万円A保険料率(現行17.35%を労使で折半)は2025年に29.8%に高まるB60歳からの平均余命は81.4歳・・・などで、支給年齢は2013年までに段階的に65歳に上げる。

 高齢世代ほど受益超過幅が大きく、若年層ほど負担超過幅が膨らむ構図になっている。70歳程度の世代が生涯に支払った保険料総額は、企業負担を含めて800万円。これに対し給付総額は6100万円で、保険料の7.6倍の年金を受け取る。50歳世代が受け取る額は総額6200万円で、親の世代に当たる70歳世代より100万円多い。だが生涯保険料が総額3000万円に膨らんでいるので、負担の約2倍しか年金を受け取れない。30歳世代の受け取り総額は5800万円、保険料は5200万円なので、生涯収支はほぼ同じになる。厚生省は「少子化が予想外の急ピッチで進んでいることが、若年世代の負担超過幅が膨らむ一因になっている」(幹部)と指摘している。年金財政を改善するには給付水準をどう抑制するかが年金審の主要な論点になりそうだ。

 同日の年金審では「年金財政だけで収支計算するのではなく、社会資本整備の恩恵の程度なども勘案して各世代の受益・負担を議論するのが望ましい」といった意見が委員から出た。

平成9年7月15日 日本経済新聞