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厚労省が検討
年金もらう日どんどん遠のく
1000万円削減の層も
65歳支給実施の前倒し
すでに5年分奪い取る改悪
厚生労働省は、60歳代前半の厚生年金支給を廃止する改悪を決め、昨年度から2025年度まで24年間かけて段階的に実施しますが、この改悪を前倒しして時期を早める検討を始めました。次期年金制度見直し(2004年度実施)を検討している社会保障審議会の年金部会に示したものでず。場合によっては支給開始を66歳以降に遅らせることもあると提起。検討段階とはいえ、現役労働者にとって目が離せない問題です。
政府は、1994年と2000年の2度にわたる年金改悪で、厚生年金の60歳支給をやめて、60歳から64歳までの5年間の年金を国民から奪い取る改悪を強行しました。公務員の加入する共済年金も同様の改悪となりました。
厚生年金は、年金加入者共通の「定額部分」(基礎年金)と、現役時代の給与に応じて支払った保険料によって支給額に違いがでる「報酬比例部分」の二つの部分に分かれています。
定額部分の年金を受け取れる年齢は、昨年度から61歳に引き上げられました。本来なら60歳支給だったのですから、1年分の年金を削られたことになります。2004年度には62歳支給になり、2年分の支給カット。こうして支給開始年齢を1歳ずつ遅らせ、2013年度で65歳までの定額部分の支給を全部なくすスケジュールを組んでいます。
報酬比例部分は、2013年度から支給開始年齢が遅らされます。たとえば、現在45〜47歳の男性の場合なら、62歳にならないと年金がもらえません。
今回、厚労省が検討テーマとして示したのは、この改悪の実施スケジュールを前倒しするというものです。前倒しの方法としては@3年ごとに支給開始年齢を1歳ずつ引き上げることになっているペースをはやめる、A報酬比例部分の支給くりのべを実施する時期を、2013年度よりはやめる−−などが考えられます。62歳支給になる予定の人が、63歳、64歳・・・・・・と遅れていくことにもなります。
厚生年金の受給者の年金額は、平均で月約17万7千円(2000年度)、1年間で約200万円です。5年分では約1千万円もの削減となります。
高齢者の就労促進を口実に
老後の生活設計に重大な影響を与える改悪ですが、厚労省は「年金の支え手を増やす」「60歳代前半の高齢者のさらなる就労促進のため」だとしています。
不況を深刻にして高齢者の仕事の確保をいっそうむずかしくしながら、一方で「就労促進」を口実に年金給付の改悪を狙うのが、小泉内閣の「年金改革」です。これでは、国民の将来不安はますます高まり、公的年金への信頼を低下させるだけです。(秋野幸子記者)
2002年9月20日 赤旗